ストーカー
頭が全くついてこない。


目の前に広がる写真に、自分の口がポカンと開いていくのがわかった。


家のポストは玄関ドアに設置されているタイプで、おそらくそこから投函されたんだろう。


「なにこれ……」


呆然とした口調でそう言って写真を手に取ったのは、お母さんだった。


その手は小刻みに震えている。


まだ事態を飲み込めていない反して、お母さんはすでに恐怖で震えているのだ。


その恐怖心が伝染するように、あたしにも強い震えが走った。


「遙、お前一体なにをしてるんだ!」


お父さんに怒鳴られてはじめてあたしは我に返った。


「なにしてるって言われても、あたしはなにも……」


怒られたことで脳が余計に混乱し、しどろもどろになってしまう。


あたしは一歩後ずさりをしてお父さんから離れた。


玄関にばらまかれた写真の中のあたしは、いつものように生活をしていた。


制服姿で通学していたり、クレープを食べていたり。


変わった事なんてなにもしていない。


それなのに、なぜだかお父さんはあたしへ向けて怒っている。


「お前が外でフラフラしてるから変な連中に目を付けられるんだろう!」
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