運命ノ黒イ糸
そう言うと二村先輩はニコッと白い歯をのぞかせて笑った。


その笑顔にはエクボができて、思っていた以上に可愛らしい。


あたしの心臓がドクンッと跳ねた。


「どういたしまして」


「あの、二村先輩は大丈夫ですか?」


二村先輩はあたしを守ったせいで背中にボールが当たったはずだ。


「これくらい全然平気だよ。鍛えてるからね」


そう言って力拳を作って見せる。


こうして会話してみると、結構話やすい人かもしれない。


少なくても1年生の大田君よりもずっとマシだ。


「あの、あたし2年1組の天宮朱里って言います」


「俺は3年の二村」


「知ってます。あの、また見に来てもいいですか?」


「もちろん」


その言葉に天にも上る気持ちになる。
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