運命ノ黒イ糸
「二村先輩に近づくのやめてくれる?」


『先輩』と呼ぶということは、2年か1年の子みたいだ。


それなら遠慮することはなかった。


「ちょっとやめてよ!!」


あたしはわざと大声でそう言った。


出て来た先輩たちが何事かと視線を向けて来る。


「あたしなにもしてないじゃん!」


騒ぎ立てるあたしに女子3人組はおろおろし始めている。


先輩たちが見ている前だし、手出しはできないはずだ。


「なに? どうかした?」


下駄箱の方からそんな声がしたので振り向くと、二村先輩が出て来たところだった。


ナイスタイミング!


女子3人がサッと青ざめるのを見た。


あたしはそんな3人を放置して、二村先輩へ駆け寄った。
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