運命ノ黒イ糸
「二村先輩! あの子たちが……」


しおらしくそう言い、女子3人組を指さす。


「なに? 朱里ちゃんになにか用事?」


「い、いえ、なにもないです!」


そう言って蜘蛛の子を散らすように逃げ出す3人に、あたしは心の中でベーっと舌を出してやった。


ざまぁみろ。


二村先輩に見られたから、もう応援にも来られないだろう。


「大丈夫? 怪我とかしてない?」


「大丈夫です。二村先輩のおかげで無事でした」


あたしはそう言ってほほ笑んだ。


「そっか、それならよかった」


「今日、2度も助けてもらっちゃいましたね」


「あぁ。別に気にすることないよ」


「でも、なにかお礼がしたいです」
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