運命ノ黒イ糸
☆☆☆

二村先輩から告白されてから、初めての登校日が来ていた。


「おはよう朱里。今日はなんだか可愛いね?」


いつものように下駄箱で声をかけてきた佐恵子が、そう言ってあたしの顔を覗き込んだ。


「ちょっとメークを変えてみたの」


二村先輩とのデートの後、ファッション雑誌を購入して自分に似合うメークを勉強し直したのだ。


「いいと思うよ。ふわふわっとして女の子らしくて」


「へへ、ありがとう」


褒められると素直に嬉しくて、頭をかいた。


「恋してるから?」


階段を上がりながら佐恵子がそう聞いて来たので「そうかも」と、ほほ笑んだ。


「嘘、本当に? 相手は二村先輩?」


「そうだよ。言ったじゃん、王子様だって」


「言ってたけど、本当に本気になったの?」
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