運命ノ黒イ糸
☆☆☆

放課後になり、サッカー部の練習が終わるのを待ってからあたしと二村先輩は並んで帰っていた。


「先に帰っててよかったのに」


空はもうオレンジ色に染まっている。


「二村先輩のカッコいい姿を見たいですから」


あたしはそう返事をした。


嘘ではなかったし、待つことは苦痛ではなかった。


でも、少し気になることはあった。


前にあたしに話かけて来た3人組の女子たちが、またサッカー部の練習を見に来ていたのだ。


さすがにあたしに話かけてきたりはしなかったけれど、堂々と二村先輩の応援をし、二村先輩もそれに答えていた。


その様子がひっかかったのだ。


「ははっ、ありがとう」


二村先輩はそう言って立ち止まった。


気が付けば家はもう目の前だ。
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