運命ノ黒イ糸
☆☆☆

二村先輩との関係はなにもかもが順調だった。


放課後デートも休日デートも、二村先輩はあたしを楽しませてくれる。


女の子向けの雑貨屋さんにも一緒に入ってくれるし、文句なんて1つもない。


「順調そうでよかったね」


ある日の昼休み中、佐恵子がそう言って来た。


「え?」


「二村先輩と。一時期はどうなるんだろうって思ったもんね」


佐恵子はそう言い、思い出したように含み笑いを浮かべた。


「まぁね。誰が王子様なのかわからなかったからね」


「二村先輩を見つけたんだね。いいなぁ朱里は」


今度はため息を吐き出す佐恵子。


「佐恵子も彼氏を見つけたらいいのに」


「それはそうだけど。好きな人って簡単にできるわけじゃないでしょ?」


「そうかなぁ?」
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