運命ノ黒イ糸
何日も前に教室の窓から見た光景を思い出していた。


結局あれはなんだったのか、まだ聞いていなかった。


「女の子からは色々もらうけど、どれのこと?」


ニコニコと笑顔を絶やさずにそう言う二村先輩。


「え?」


「なに? どうかした?」


今度はキョトンとした表情になっている。


「い、いえ。二村先輩人気ですもんね。もらいものくらい、沢山ありますよね」


「まぁね。ラブレターとかはいちいち読まないけどね」


「そうなんですか?」


「あぁ。だって、読んだら返事を書かなきゃいけなかったりして大変だろ?」


「それは……そうですよね」
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