運命ノ黒イ糸
でも、その優しさはあたしだけに向けられているものじゃない。


他の子たちにも同様に優しいから、あたしは嫌味を言われてしまうのだ。


「二村先輩とこのまま付き合ってて、あたしは幸せなの?」


あたしは自分自身にそう問いかけた。


嘘をついてデートを断ってしまうのに、本当に幸せだと言える?


答えはノーだった。


誰がどう考えてもそうだ。


二村先輩と一緒にいるかぎり、またいつ嫌味を言われるかわからない。


それ以上の危険な目にあう可能性だってある。


そう思った時、あたしはすでにハサミを手に取っていた。


これで最後。


カオルと再び結ばれればそれでいいんだから。


そう思い、あたしは赤い糸を切ったのだった……。
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