運命ノ黒イ糸
「その次の日に、赤い糸が結ばれてたの」


そう言うと、佐恵子はあたしの小指に視線を移動させた。


けれどやっぱりなにも見えないみたいだ。


「で、その糸は結局誰と繋がってたの?」


そう聞かれてあたしは高原の顔を思い出し、しかめっ面をした。


「高原とだった」


眉間にシワを寄せたままあたしは言った。


佐恵子は驚いたように口をポカンと開けて閉まっている。


「でもあり得ないでしょ高原が相手なんてさ」


「あり得なくても、運命の相手だったんだよね?」


「違うよ。ためしに糸を切ってみたら、次の日には別の人と繋がってたもん。だからきっと高原は間違いだったんだよ」


「間違いって……本当にそうなのかな?」


どこか不安そうな表情で佐恵子は言う。


「そうだよ。じゃないと次の相手と繋がったりしないでしょ」
< 146 / 245 >

この作品をシェア

pagetop