運命ノ黒イ糸
☆☆☆

翌日。


下駄箱へ向かうと佐恵子の後ろ姿を見つけてあたしは駆け寄った。


「おはよう佐恵子、どうしたの? 今日はいつもより早いね?」


「おはよう朱里」


そう言いながら、あたしから視線を逸らせる佐恵子。


なんだか、ほんのりと頬が赤くなっている。


「もしかして熱っぽいの?」


そう聞くと、佐恵子は左右に首を振った。


「ううん、そんなことないよ」


「でも、顔が赤いよ?」


佐恵子はあたしの言葉に反応して、更に真っ赤になってうつむいてしまった。


熱が出ているのではなくて、なにかに対して照れている様子だ。


でも、なにに?


いつもの登校風景が広がるばかりで、佐恵子を照れさせるものなんてどこにも見当たらない。
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