運命ノ黒イ糸
「別に……平気」


そうは言っても、全然平気そうには見えない。


赤い糸の相手を探しにいくつもりにしていたけれど、どうやらそれ所ではなさそうだ。


「平気じゃないでしょ? 保健室に行く?」


「本当に平気だから」


そう言って佐恵子があたしの手を掴む。


そこまでして引き止める理由がわからなかった。


「あのね……あたしも昨日、夢を見たの」


ゆっくりと歩き出しながら佐恵子が言った。


「夢って、もしかして神社の!?」


思わず声が大きくなってしまう。


佐恵子は顔を赤らめて何度も頷いた。


「嘘……」


「それで、朝起きたら左の小指に赤い糸が見えて……」


あたしの目にはなにも見えない。


けれど、佐恵子には見えているのだ。
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