運命ノ黒イ糸
佐恵子の言葉は嘘ではなさそうだ。


あたしは大きく息を吐きだした。


あの神社は運命の相手を強く願った人間にだけ、たどり着ける場所なのかもしれない。


「それで? 佐恵子の運命の相手は誰?」


身を乗り出し、好奇心からそう聞いた。


すると佐恵子は自分の小指から視線をずっと先へと伸ばした。


教室の外へ続ているんだろうか?


そう思ったが、佐恵子の視線は1人の男子生徒の背中で止まった。


「え、もしかして寺島?」


寺島正樹(テラシマ マサキ)。


2年1組の生徒だけれど、あまりパッとしない。


大人しい性格で、見た目も平均的だ。


佐恵子は耳まで真っ赤にして俯いてしまった。


佐恵子の相手は寺島か……。


悪くはないかもしれないけれど、もっといい人がいそうだ。
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