運命ノ黒イ糸
きっと、佐恵子だって大丈夫だ。


「あたしは朱里みたいに可愛くないし……」


「何言ってんの」


そんなことを言っていたら誰とも仲良くなれないままだ。


みすみす運命の出会いを捨てるなんて、勿体なさすぎる。


「頑張って見なよ、きっと大丈夫だから」


そう言って佐恵子の背中を押すと、佐恵子は何かを決心したように大きく息を吸い込んだ。


「わかった。ちょっと……挨拶だけ、寺島君にしてくるね」


佐恵子はそう言い、席を立ったのだった。
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