運命ノ黒イ糸
その笑顔も、うまく作れているかどうかわからない。


「だ、大丈夫だよ。ちょっと、ビックリしちゃって!」


『ちょっとビックリ』なんてものじゃなかったけれど、あたしはそう言って笑い声をあげた。


イケメンは大好きだけれど、ここまでカッコいい人を前にしたらさすがに冷静ではいられなかった。


あたしはギクシャクとした動きで自分の席へと戻り、同時に大きく息を吐きだした。


呼吸を忘れるほどに緊張してしまうとは思っていなかった。


軽く草山くんへ視線を向けると、もう男友達との会話に戻っている。


けれど、その小指にはしっかりと糸が結ばれていたのだった。
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