運命ノ黒イ糸
「う、うん。一応ね」


本当は料理なんて全然しないけれど、そう言って無理にほほ笑んだ。


草山くんは感心したような視線をあたしへむける。


「料理のできる女の子っていいな。俺、そういう子好き」


『好き』


草山くんから発せられたその単語に目の前がクラクラしてくる。


なにボーっとしてんの、しっかりしなきゃ!


自分にそう言い聞かせて、あたしはどうにか笑顔でい続けた。


「そ、そんなんだ。じゃあ……あたしお弁当作ってこようか?」


言葉に詰まり、声を裏返しながら言う。


そうすると草山くんは嬉しそうにほほ笑んだのだ。


みんなから王子スマイルと呼ばれていて、その笑顔を見て恋をしない女子生徒はいないとまで言われている。

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