運命ノ黒イ糸
草山くんが教室を出た瞬間、あたしは声にならない黄色い悲鳴を上げた。


それは佐恵子も同じだった。


お互いに顔を真っ赤にしていたと思う。


「なになに? あれってどういうこと?」


そう聞いて来たのは他のクラスメートの女子だった。


その子の顔も真っ赤になっている。


あたしはブンブンと左右に首を振った。


どういうことと言われても、説明なんてできない。


「いきなり、王子に話しかけられたの?」


「そ、そうこと……」


赤い糸が関係していることは確実だとしても、さすがにビックリした。


「うっそ……それって奇跡じゃん! あの王子だよ!? 誰とも付き合わない王子が、自分から女子に話かけるなんて……!」
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