運命ノ黒イ糸
☆☆☆

その日の放課後、あたしは2年4組の前を通り過ぎた。


教室内ではまた高原がイジメられている様子だった。


階段を下っていると1年生の大田くんとすれ違った。


参考書を手に、友人と難しそうな会話をしていた。


グラウンドを横切ると、二村先輩がサッカーの練習をしていた。


相変わらず人気があって、いつもの女子生徒たちの姿があった。


でも、そのどれもが灰色にくすんで見えた。


どれもこれも、興味がない。


今はもう、あたしには釣り会わない男子たちばばかりだ。


校門を抜けて家への道を歩いていると、前方から葉子先輩が歩いてくるのが見えた。


自然と歩調が緩くなって、お互いに立ち止まる。


「こんにちは」


あたしは自分からそう声をかけた。
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