運命ノ黒イ糸
「こんにちは。今からカオルとデートなの」


そう言って長い髪の毛が風になびく。


一瞬だけ、自分の胸が痛んだ気がした。


でも、これもどうせ勘違いだ。


だってあたしの相手はただ1人、学校1のイケメンなんだから。


「仲直りしたんですか?」


「おかげさまで。あなたに変な事を言ってごめんね」


「いいえ」


あたしはそう言ってほほ笑んだ。


余裕のほほ笑みに、葉子先輩がたじろくのがわかった。


少しはあたしのことをライバル視してくれていたようだ。


一時でも、有名な葉子先輩のライバルになれたことは光栄だった。


「じゃ、さようなら。葉子先輩」


あたしはそう言い、歩き出したのだった。
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