運命ノ黒イ糸
☆☆☆

結局、あたしたちは商店街をブラブラと歩いていた。


可愛い雑貨屋に入ったり、服屋に入ったり、それなりに楽しんでいたのだけれど、輝明は1人だけ仏頂面になっていた。


「そんなにカラオケが良かった?」


そう聞くと、輝明は冷めた声で「別に?」と、答える。


明らかに不機嫌だ。


「ごめんね。あたしが苦手だから」


佐恵子が気を使ってそう言ってくるけれど、初めてのデートでお酒を飲もうとする方が非常識だった。


「佐恵子ちゃんは、これが似合いそうだね」


悪い雰囲気を変えるように寺島が店頭に出ている服を差して言った。


それはブルーのスカートで、確かに佐恵子に似合いそうだ。


適当に言ったワケじゃなくて、ちゃんと見て言っているのがわかった。
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