運命ノ黒イ糸
「味が良くてもこの見た目じゃダメでしょ」


そう言い輝明は笑い出した。


瞬間、胸がスキンッと痛む。


「で、でもあたしは頑張って……」


「努力不足だよ。俺だって見た目だけじゃダメだから勉強もスポーツも頑張ってる」


確かに、輝明は勉強もスポーツも人並み以上にできる。


だからこそ人気も高いんだ。


それはわかっているけれど、そんな言い方ってないんじゃない?


「朱里ちゃんは可愛いけど、見た目だけじゃダメだよ」


「だから、頑張ってお弁当作ったじゃん!」


思わず、大きな声でそう言っていた。


輝明の冷めた視線を感じて背筋がゾクリと寒くなる。


ダブルデートの帰りに感じたような、ひどい威圧感がある。
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