運命ノ黒イ糸
☆☆☆
あたしのお弁当が汚い?
見た目は悪いかもしれない。
でもそれだけだ。
あたしが初めて作ったお弁当だ。
輝明のために。
輝明に、いつも通りの『美味しい』を言ってもらいたくて……。
学校から帰ったあたしは、まだ呆然とした気持ちだった。
昼間の光景が何度も繰り返し思い出されて、その度に胸の傷がえぐられた。
それに、殴られた左ほおもまだヒリヒリと痛んでいる。
「彼女を殴るなんて、輝明の頭はどうかしてる!」
あたしはそう呟き、ハサミを手にした。
せっかく繋がった糸。
相手が輝明だと分かった瞬間、天にも昇るような嬉しさを感じた。