運命ノ黒イ糸
黒くなった糸が切れない事はわかっている。


それなら……。


あたしはハンカチを口に入れて強く噛みしめ、左小指の付け根にカッターナイフを押し当てた。


それだけでもチクリとした痛みが走る。


きっと簡単に切り取ることはできないだろう。


骨にぶち当たったら、カッターナイフじゃ切れないかもしれない。


だけど、やるしかない!


「…………!!!」


涙で滲んだあたしの視界は、真っ赤に染まった。
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