運命ノ黒イ糸
そう思い、涙でグチャグチャに濡れながら、残っていた肉をすべて切断したのだった。


小指が離れて床に落下した時の安堵感を今でもしっかりと覚えていた。


しかしその後気絶して倒れてしまったようだ。


病院が近いから、きっとすぐに運ばれて来たんだろう。


そう考えて、あたしは自分の右手を確認した。


あたしの右手はすべて包帯を巻かれていて、小指がどんな状態なのかわからなかった。


でも大丈夫。


もう切り取ったのだから。


運命の黒い糸は消えた。


「朱里!?」


そんな声を同時に佐恵子が病室へ入って来た。


あたしは目を丸くして佐恵子を見つめる。


そうだ、寺島はどうなったんんだろう?
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