運命ノ黒イ糸
部屋の中へ入るようにうながす輝明に、あたしはそっとドアへ近づいた。


一歩手前で立ちどまって中を確認しようとしたとき、輝明があたしの背中を押していた。


バランスを崩して部屋の中へと転がり込むあたし。


その瞬間、目、が合った。


ソレは2体あり、男女だった。


ソレは黒いゴミ袋に入れられて顔だけを出した状態だった。


ソレの口はサランラップがグルグル巻きになれていて、ソレは喋れない状態だった。


ソレの目は血走り、あたしを凝視している。


「ひぃ!」


悲鳴をあげてドアの外へ逃げようとしたが、輝明が立ちふさがり行き場を失ってしまった。


「どう? 俺の、最上級の愛情表現は?」


輝明はキレイな顔で笑う。


嘔吐感が込み上げてきて、唾を飲み込んでそれを抑え込んだ。


「この人たちは誰?」


「俺の両親だよ」


そう言い、女性の方へ歩み寄り頭を撫でた。
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