運命ノ黒イ糸
ひとまずあたし意外の人間はいないようで、ホッと胸をなで下ろした。


だとすると、この糸は一体なんなんだろう?


疑問を感じながら、糸を辿って部屋の外へと出て見た。


赤い糸は階段を下っている。


階段の下まで到着すると、ちょうど母親がリビングから出てきたところだった。


「あら、おはよう朱里。今起こしに行こうと思ってたのよ」


「おはようお母さん。ねぇ、この糸なんだと思う? 玄関の外に続いてるんだけど」


あたしは自分の小指を母親へ見せてそう言った。


「糸? なんのこと?」


そう言って首を傾げる母親。


「この糸だよ。さっきから取ろうとしてるんだけど、取れなくてさぁ」


「なにわけのわからないことを言ってるの? 早くご飯を食べて、準備しなさいよ」


母親はそう言い、リビングへと戻って行ってしまった。
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