運命ノ黒イ糸
あたしはそう言い、自分の小指を佐恵子の前に出した。


「小指?」


「そうなんだけど、なにか結ばれてるように見えない?」


「なにも見えないけど、どうしたの?」


佐恵子は怪訝そうな表情でそう聞いて来た。


やっぱり、ここへ来るまでにも誰からもなにも言われなかった。


きっと、あたし以外には見えないのだ。


「そっか……」


「なになに? 気になるじゃん」


佐恵子が身を乗り出して聞いてくる。


妙なことを言い出したと、笑われないだろうか?


そう思って、赤い糸について話そうか黙っておこうか悩んでいると、佐恵子が気が付いたように目を輝かせはじめた。


「まさか、神社に行った?」
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