運命ノ黒イ糸
途端に小声になってそう聞いてくる佐恵子。


「あ、ううん。神社には行ってないよ」


あたしはそう言って左右に首を振った。


「なぁんだ。神社に行ってご利益を貰ったのかと思った」


佐恵子は本当に残念そうにそう言った。


神社には行っていない。


でも……。


昨日、昼寝から目覚めた時のことを思い出すと妙な気分になった。


どうしてあたしの体はあんなに冷えて、ソックスが汚れていたんだろう?


そう考えた時、オレンジのキャンディーのことを思い出した。


そういえば昨日、夢の中でお賽銭の代わりにしたんだっけ。


夢の中なのに佐恵子にもらったキャンディーが出て来るなんて、やけにリアルだったんだよね……。


そう思い、自分のスカートのポケットに手を入れた。


「あれ……?」
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