運命ノ黒イ糸
そこにあるはずのキャンディーに手が触れない。


逆側のポケットを確認してみても、貰ったキャンディーは入っていなかった。


「どうしたの?」


「昨日佐恵子がくれたキャンディーがなくなったの」


どこかに落としてしまったんだろうか?


「あぁ、あれならまた沢山あるよ。いる?」


そう言って、佐恵子は昨日と同じオレンジのキャンディーを1つ、あたしの手のひらに置いた。


「ありがとう……」


受け取りながらも、違和感に胸騒ぎがした。


昨日のあれは夢だったんだよね?


あたし、あの神社に行ってなんかないよね?


「朱里、険しい顔になってるよ?」
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