運命ノ黒イ糸
正直、そんなものに興味はなかった。


あんな醜い見た目をしているからイジメの対象にされるんだ。


嫌なら痩せればいいのに。


「可愛そうだね」


再び歩き出そうとしたとき、佐恵子がそう呟いた。


あたしは驚いて振り返る。


「今、なにか言った?」


「高原君。可愛そうだと思わない?」


小さな声だけど、確かにそう言った。


「なんで? 別に?」


イジメられたくないなら、自分が努力をすればいいだけだ。


そんなあたしへ、佐恵子は驚いたように目を見開いた。


「朱里はあれを見てもなにも思わないの?」


「イジメなんて幼稚だなぁと思うけど、それだけだよ?」


そう答えて、また歩き出した。
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