運命ノ黒イ糸
「ありがとう。そうしてもらえると助かる」


あたしはそう返事をして、重たい体を持ち上げた。


高原のせいで精神的に追い詰められ、今日は授業も身が入らなかった。


「ここで待ってて」


佐恵子がそう言い、先に廊下へ出て確認する。


そして「大丈夫だよ。いないから」と、声をかけてくれた。


悪いのはどう考えても高原の方なのに、どうしてあたしがコソコソしないといけないんだろう。


そんな憤りを覚えながらも早足で下駄箱へと向かう。


ここまで来ればもう大丈夫だろう。


「ねぇ、高原君と朱里は元々知り合いだったの?」


再び歩き出した時、佐恵子にそう質問されたのであたしは左右に首を振った。
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