運命ノ黒イ糸
「朱里は気にならないの?」


「全然?」


どうしてあたしが高原のことを気にしなきゃいけないのか、わからない。


関わらないでいいのなら、そっちの方がよほどうれしかった。


「あ、でも……」


あたしは赤い糸を見て思わずそう呟いていた。


「やっぱり気になる?」


「う~ん……1度くらいは確認しておいてもいいかもね」


高原のことは全く気にならないが、赤い糸がまだ高原の指に巻かれているのかどうかは、気になった。


「じゃあ、お弁当を食べたら行ってみようか」


「そうだね」


あたしは佐恵子の言葉に頷いたのだった。
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