運命ノ黒イ糸
☆☆☆

4組は1組の教室よりも随分と騒がしかった。


開け放たれたドアから教室内を確認してみると、教室の中央に高原がいた。


その周囲には食堂で見た4人の生徒たちがいて、高原を取り囲んでいる。


「やっぱり、イジメだ」


佐恵子が言う。


しかし、あたしにはそんなこと関係なかった。


高原の事を心配して見に来たんじゃない。


赤い糸を確認しに来ただけだから。


そしてその赤い糸は、高原の指には結ばれていなかったのだ。


「なんで……?」


「なんでってなにが? どうする? 声をかける?」


そう聞いてくる佐恵子の手を握り、あたしは近くの女子トイレへと向かった。


「あれ、ほっといていいの?」


佐恵子はまだ高原のことを気にしている。
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