運命ノ黒イ糸
☆☆☆

糸の相手が同じ学校の人だとは限らない。


それでも、あたしは糸を辿って階段を下りた。


あたしは昨日糸を切った。


そうすると高原はあたしに感心を示さなくなり、糸の相手も変わった。


本当の運命の相手なら、こんな風になるはずがない。


元々高原は運命の相手じゃなかったのかもしれない。


そんな期待がどんどん膨らんでいく。


「ちょっと朱里、どこへ行くの?」


「ごめん。ここって……」


赤い糸が1つの教室へ向かって伸びているのが見えて、あたしはようやく歩調を緩めた。


教室のプレートは1年1組。


後輩だ。


あたしが年下と付き合うなんて考えたこともなかったけれど、この糸の相手が後輩なら、それもいいかもしれない。
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