運命ノ黒イ糸
そんなことを思いながらドアの前に立った。


見知らぬ後輩の顔ばかりが並び、あたしたちを見て不思議そうな顔をしている。


「朱里、この教室になにか用事でもあるの?」


なんの事情も知らない佐恵子が、居心地悪そうにそう聞いてくる。


「ちょっとね」


短く返事をして糸の先を探す。


そして……見つけた。


教室の後方で友人たちと話をしている男子生徒。


入学式の時に入学性代表で挨拶をしていた生徒だ。


きっと成績がいいのだろう。


顔は高原に比べればずっといい。


スタイルも悪くないし、身長も低くない。


でも……パッとしない。


そんな子だ。
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