運命ノ黒イ糸
改めて近くで見ると、なかなかカッコいいかもしれない。


カオルには負けるけれど、悪くない。


そんな大田君とあたしの小指は赤い糸で結ばれていた。


「はじめまして。2年の天宮です」


そう自己紹介してみると、大田君は頬を赤らめてお辞儀をした。


「知ってます。その……可愛いって、噂で……」


しどろもどろになりながらそう言う大田君。


1年生の相田でそんな噂になっているなんて知らなかった。


努力してきた甲斐があったようだ。


浮かれてしまいそうになりながらも、あたしはしっかりと大田君を観察した。


この人が本当に運命の相手なのかどうか、しっかいと見極めないといけない。


「あの、天宮先輩が、僕になにか用事ですか?」


「ううん、目が合ったから話しをしてみようかなって思ってだけ。それじゃあね」


あたしはそう言い、1年生のクラスから遠ざかったのだった。
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