運命ノ黒イ糸
☆☆☆

「ねぇ、結局なんだったの?」


2年1組へ戻って来たあたしに、佐恵子は怪訝そうな表情をしている。


「ちょっとね、どんな子か気になって」


「もしかして朱里、大田君のファンとか?」


別にファンなんかじゃない。


でも、今はそうしておいた方がよさそうだ。


「そうだね。まぁ、嫌いじゃないかな」


そう答えると佐恵子は驚いた様子で目を大きく見開く。


「本当に? 珍しいね朱里があんな普通っぽい子を気にするなんて」


「そう?」


「そうだよ。いつもイケメンばっかりだったじゃん」


そうかもしれないけれど、大田君も悪くはなかった。


「この学校内で付き合うなら断然草山君だけどねぇ」


あたしはそう呟いて、同じ1組の草山輝明(クサヤマ テルアキ)へ視線を向けた。
< 79 / 245 >

この作品をシェア

pagetop