運命ノ黒イ糸
☆☆☆

放課後になり、1人で校門までやってくるとそこには大田君の姿があった。


細い体を小さくして門柱の隣に立っている。


誰かと待ち合わせかな?


そう思って通り過ぎようとした時だった、「あの、天宮先輩」と、突然声をかけられたのだ。


あたしは驚いて立ち止まり「え?」と、首を傾げる。


大田君と約束をしていた覚えはない。


「あの、天宮先輩ともう少し話がしたくて、待ってました」


おどおどしながらも、そう言う大田君。


「あたしを待っててくれたの?」


「はい。あの、ごめんなさい。迷惑なら、帰ります……」


その言葉に思わず笑ってしまいそうになった。


そこまで気にしなくていいのに。


相手が高原だったら絶対に嫌だったし、絶対に立ち止まらなかった。


けれど、大田君はら話は別だ。
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