運命ノ黒イ糸
「ねぇ、あたしのことが噂になってるって本当?」


そう訊ねてみると、大田君はうんうんと大きく2度頷いた。


「そうですよ。2年生に可愛い子がいるって」


「そうなんだ」


そう言われると悪い気はしなかった。


運ばれてきたミルクティーをひと口飲んで、口元に笑みを浮かべる。


「俺、ちょっと前に天宮先輩のことを食堂で見かけたんですよ」


「え……」


それは前回の赤い糸の相手を探していたときのことだろう。


あたしはいつもお弁当を持参しているから、食堂へは滅多に行かないから。


「あの時、体調悪そうでしたよね?」


「あぁ、うん……。でも大丈夫だよ。もうすっかり元気」


あたしはそう言って笑った。


高原が相手だとわかったあげく、カオルと葉子先輩の関係まで知ってしまってシュックだったからだ。


カオルのことを思い出すとまだ胸が痛むけれど、高原の問題は片付いたからもう大丈夫だ。
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