運命ノ黒イ糸
沈黙の時間
この糸をもう1度切ったら、今度は誰と結ばれるんだろう?


お風呂の中でふとそんな考えが過った。


1度糸を切ったら、別の人と糸が繋がった。


しかも、高原はあたしのことなんて忘れてしまったかのように感心がなくなっている。


その半面、あたしと繋がった大田君は接点なんて全くないあたしに感心を寄せて
くれている。


「そういう糸なのかなぁ……」


あたしは自分の小指を見つめて呟いた。


この糸で繋がった相手とは仲良くなりやすくて、切れば感心がなくなる。


「それなら、別に大田君じゃなくてもいいのかも」


また切れば、大田君よりももっといい人と繋がる事ができるかもしれない。


「なんてね。そんな都合のいい糸なわけないか」
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