運命ノ黒イ糸
確かに、あたしと大田君は赤い糸で結ばれているし、一緒にいて嫌だとは感じない。


けれど、一緒にいて楽しいかと聞かれたら疑問を感じる。


好きな相手なら一緒にいて楽しいし、ドキドキするだろうけれど、そういうことは一切なかった。


「どうだろうな……よくわからないかも」


あたしはそう言ってスマホを机に置いた。


丁度大田君から放課後の誘いのメッセージが来ていたから、返事をしようとしていたところだった。


「なにそれ。気になるから声をかけに行ったんだよね?」


あたしの返事に佐恵子は混乱している。


気になったのは大田君じゃなくて、赤い糸の相手の方だ。


その相手が偶然大田君だったから、声をかけただけ。


そう思うと、自分の心がどこにあるのかわからなくなってきてしまった。


「好きじゃないかも」


「え? なにそれ」


佐恵子は瞬きをしてあたしを見る。
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