運命ノ黒イ糸
でも佐恵子のおかげで自分の気持ちがしっかりと理解できた。


あたしは別に大田君のことが好きじゃないんだ。


だから、付き合うこともないだろう。


これから先好きになることもあるかもしれないけれど、それがいつになるかなんてわからない。


「きっと、大田君もあたしの運命の人じゃなかったんだよ」


「なに言ってるの? こんなに仲良くなったのに……」


「仲良くはなったけどさ、会話が止まるときが多いんだよね」


あたしは大田君と一緒にいるときのことを思い出してそう言った。


何度かファミレスで会話をしたけれど、1時間の内半分くらいは沈黙していることが多い。


大田君が緊張しているのと、共通の話題が少ないのが原因だと思った。


学年が違うと流行っているものも違うし、共通の友達もいない。


毎回テレビ番組の話なんかになって、結局会話が途切れてしまうのだ。


「会話が止るのは最初の頃は仕方ないんじゃない?」


「そうかなぁ?」


佐恵子の言いたいことは理解できた。
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