運命ノ黒イ糸
あたしは佐恵子の言葉に目をパチクリさせた。


「縁結びの神様?」


さっき佐恵子が言ったことをそのまま聞き返す。


この辺と言っても、そんな神様が祭ってある場所なんてきいたことがなかった。


「そうだよ。だけどね、そこの神社にたどり着ける人は滅多にいないんだって!」


「あぁ~。そういう都市伝説みたいなやつ?」


人気の神社なら、全国的に有名になっても不思議じゃない。


だけど、地元の神社はそこまで有名なものじゃなかった。


「違うって! その神社は実在するの!」


佐恵子は必死でそう言った。


「実在するなら、もっと人気になってるでしょ」


「それはそうかもしれないけどさぁ……」


佐恵子はそう言って黙り込んでしまった。


自分が知っている話に矛盾があると気が付いたようだ。


でも、佐恵子がそうやってあたしを元気づけてくれていることは、十分に伝わって来た。
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