無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
凝縮された好きなもの
「あの、すごく強い女性のパン職人さんいますか?」

「あ、ちょっと待っててくださいね、
真未さーん、お客さんですよー!」

真未さんって言うんだって!と三人組の若い女の人がキャッキャッ言ってるのを聞きながら溜め息をついてフロアに出ると、その瞬間に、きゃーっ!!と黄色い悲鳴をあげられて真未は口元を引きつらせた。

「あ、あのっ!先日陽菜ちゃんに迫ってるストーカーを撃退しているのを見てて、すごく格好いいなって!
良かったら握手してくださいっ!」

「……握手くらいならいいですよ」

そっと手を差し出すとまた、きゃーっ!!と叫びながら女の人達は代わる代わる真未の手を両手で握ってきていた。
そう、握手くらいならいいのだけどたまに、サインください。とか抱き締めてください。とか付き合ってください。とか言われるようになった。
芸能人でも何でもない一般人なのでその辺はお断りしてるのだけれど、そのような女性達が頻繁に訪れるようになったのには理由があった。
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