無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「真未さん、パンケーキセットの三段重ね一つ、カツサンドセット一つ、コーヒー一つお願いします」

「はーい」

千夏の声に我に返り、真未は注文された品物を調理していく。
先日朝陽の家に行ったときに持っていった低カロリーパンケーキを販売したらとても好評で、真未目当てにやってくる女性客が必ず注文していってくれるのだが、それはそれで少し複雑な感じもしていた。

まあ、人の噂も七十五日と言うから少しの我慢だと自分に言い聞かせ、トレイに乗せた注文の品を千夏に渡そうとしたら、真未さんのご指名です。と言われた。

「いつから指名制になったの?」

「いいからいいから、今回だけですから早く行ってください」

温かいうちが絶品なんですから。と言われて渋々注文されたテーブルに向かうと、そこには朝陽と変装した陽菜、それから今日で見かけるのは三度目になるサングラスにマスク姿の男性がいた。

「お待たせしました。
どうしたの、急に来るなんて」

「勇人兄さんが陽菜姉を護ってくれたことにお礼言いたいって言ってさ、でもこれから暫く仕事で忙しくなるらしいからここに連れてきたんだ」

テーブルの上に注文されたものを置いていた真未はその言葉にピタッと止まり首だけを男性に向けると、男性はサングラスとマスクを取って真っ直ぐ真未を見た。
そこにいたのは陽菜の旦那さんで、真未が大ファンであるKaiserの勇人がいた。
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