無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「はい、兄さんと姉さんからのお礼」

「わぁ……ありがとう!」

後日大学の教室で朝陽から渡された袋を大事に受け取りそっと中身を取り出すと、そこには朝陽とシェアする約束をしたCDと特典のDVDに陽菜と勇人のサインが書かれていた。

「すごく素敵……」

「二人が不思議がってたよ、本当にサインだけでいいのかって」

「もちろんっ!だって、大好きなKaiserの歌と、大好きな陽菜さんが出演しているDVD、そして朝陽と仲良くなるきっかけにもなった大切なものにサインを入れてもらうなんてすごく贅沢じゃない?」

好きなものが凝縮されてるみたいでしょ?と笑うと朝陽は眩しそうに目を細めた。

「そんな真未が好きなんだよなぁ」

「え?何か言った?」

「いや、何も言ってないよ」

笑顔で首を振る朝陽に一度首を傾げるが、まあいいかと思い直すと先日勇人に貰った紙を朝陽に見せた。

「ね、いつのライブに行く?ていうか買えるかな?」

「Kaiserのライブチケット買える可能性低いもんな。
やっぱここは手分けして全部の日程に挑戦してみる?」

「仕事は?」

「終わらせる」

「講義は?」

「サボる」

「万が一、二日以上のチケット買えちゃったら?」

「勿論、見に行くに決まってるじゃん」

ニヤッと笑いながら言う朝陽に真未は、そう言うと思った。と笑った。
チケット販売までまだ一ヶ月以上ある。
取れるかどうかわからないチケットに暫くドキドキするんだろうなと、真未は何度もお知らせの紙を見つめるのだった。
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