無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
その鼓動は違わずに
「秋村君ありがとう!真未と付き合ってくれたおかげでやっと夢のダブルデートがやっと出来るよ!」

「どういたしまして」

笑顔で朝陽の手を取り握手をしようとする杏子からスッと距離をとった朝陽。
ん?と真未達三人が首を傾げると朝陽は悪びれもなくこう言った。

「悪いけど、彼女以外の人と必要以上に触れ合いたくないんだよね」

にっこりと笑う朝陽に全員が一瞬ポカンとすると、先に我に返った杏子が吹き出して笑った。

「すごい徹底してる!愛されてるね、真未」

「あ、愛されてるのかな?」

「真未しか触りたくないってことでしょ?愛されてるじゃない。
あー、でもそこまで溺愛されてるならこれから合コン誘いにくくなっちゃったなー」

「うん、誘ったら俺、何するかわからないよ?」

「て言うか、彼氏がいる前で堂々と言うなよ」

「それ以前に私行かないし」

杏子の言葉に三人それぞれ反応するが杏子は全く聞いてないようで、あ、電車来るから早く乗ろう!と改札口を通って行ってしまった。

「いつもよりテンション高くてごめんね、真未ちゃん、朝陽」

「別にいいけど、真未にいらないこと吹き込まないようにだけは見張っといてよ」

努力はする。と苦笑して大輔も杏子の後を追って改札を通った。
いつの間にか名前で呼ばれるほど仲良くなっている二人に驚きながらも、真未は朝陽に自然に繋がれた手を見つめながら二人で改札を通った。
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