無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「冷たっ!」

少し歩いたところに川があり流れの穏やかなところは子供達がたくさんいたので、少し奥まった場所までやって来て靴を脱いで足をつけてみたのだが思ったよりも冷たかった。

「川の水って結構冷たいよなー。
真未、転けるなよ?」

朝陽は靴を脱がないで川の外に立ち、ゆっくり歩く真未に合わせて歩いている。
水が透き通っていて底がよく見えるからか足場の悪いところはいち早く気づいて然り気無く手を貸してくれたりとよくフォローしてくれていた。

「朝陽って意外と紳士的だったりするわよね」

「意外とってなんだよ。
ま、下心あってのものだけどね」

「下心?」

「こうやって然り気無く手を繋いだりして触れ合えるじゃん?
なんなら、真未が転けかけるのを利用して抱き締めてもいい……」

「残念ね、絶対転けないからそれは無駄な期待よ」

ぷいっと顔を背けて仄かに赤くなった顔を隠すと、わかりきっているのか朝陽は肩を揺らして笑っていた。
感心して損した。と恥ずかしさを誤魔化すために呟けば、さっきの話だけど……。と朝陽が落ち着いた声で話しだした。
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