無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「何で大学を変えてまで真未のことを好きになったかって」

「あ、うん……。
話してくれないのかと思ってた」

「さすがに誰かいる前で言えなかったからね」

苦笑いする朝陽に向き直って見上げていると朝陽は、聞きたい?と聞いてきた。
聞きたいに決まっていると言いたげに迷いなく頷くと、朝陽は晴れ渡る空を仰ぎ見た。

「最初に真未を見たのが亮太と興味本意で見に行った柔道大会だったんだよ。
一年生なのにすごく美人で強い優勝候補の子がいるって聞いてさ」

「ああ、あの時の……」

言われて真未はその時の大会を思い出していた。

小さい頃から剣道や合気道、空手といった武術を鍛えられていた真未は高校で柔道部に入った。
持ち前の身体能力とセンスでめきめき頭角を現していたが、二年や三年といった先輩達はそんな真未がお気に召さなかったらしく受け身の練習だと言っては思い切り投げ飛ばして優越感に浸っていた。
それが何ヵ月も続いてストレスの溜まっていた真未は出場した全国大会でストレス発散だと言わんばかりに次々技を決めていき、気づけばあっという間に高校生の頂点に立っていたのだった。
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