無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
『あちゃー、本当にごめんね?
ね、彼女ちゃん、知ってると思うけどその子本当にいい子だからさ、出来たら断らないであげてほしいんだよね。
あ、でも性格がちょっとアレだから心配なのもわかるよ!』

『……拓也、お前もう黙ってろ』

拓也は真未にどちらの返事もしやすいように言ったつもりなんだろうけど、話せば話すだけ返事をしにくい状態になっている。
どうしたものかと思っていると、朝陽が少しだけ屈んで真未の口元に耳を寄せた。

「俺にだけこっそり返事聞かせてよ」

苦笑いしながら言う朝陽の耳にそっと近づいて、真未は徐に口を開いた。

「ここまで用意周到にされて、ごめんなさい。なんて言えないじゃない」

「それじゃあ……」

「まだすぐには結婚できないけど、もう少し待っててくれるなら……それでもいいなら、よろしくお願いします」

そう言って小さく微笑むと朝陽は満面の笑みを浮かべて突然真未を抱き締めた。
注目していた周囲もその状況に真未の返事がわかって、わっ!!と歓声と拍手が沸き起こった。
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